動画がカクつく?AI搭載フレーム補間ソフトおすすめ5選|誰でも簡単に滑らかな映像に!

動画を視聴しているとき、特に複雑で変化の激しいアニメーションシーンや高速で動く映像では、フレームレートが不足していると、画面の遷移が不自然になったり、動作のつながりがぎこちなくなったり、明らかなカクつきが発生することがあります。
これにより、視聴者の没入感が損なわれ、動画本来の魅力や伝えたい情報が十分に伝わらないといった課題が生じます。そんな時に注目されるのは、「フレーム補間」でしょう。
本文は、このフレーム補間技術の概要と、それを手軽に実現できるおすすめのAIフレーム補間ソフトについて紹介します。
フレーム補間って
フレームレート(fps)は、作品の視聴体験に直接的な影響を与えます。適切なフレーム補間の方法を理解し活用することは、動画制作者にとって欠かせない知識の一つです。
私たちが日常的に目にする動画は、1枚1枚の静止画(フレーム)が連続して表示されることで成り立っています。1秒間に表示されるフレームの数が多いほど、動きは滑らかに見えます。しかし、撮影機材やその他の要因によってフレーム数が不足している動画では、動きがぎこちなく、映像がカクついて見えることがあります。
このような場合に役立つのが「フレーム補間(Frame Interpolation)」です。フレーム補間とは、動画において既存のフレーム(静止画)の間に新たな中間フレームを生成し、動きを滑らかに再現する技術で、より自然で臨場感のある映像表現を可能にします。また、スローモーション効果の演出にも特に有効です。
簡単に言うと…例えば:
元の動画が 1秒間に15フレーム(15fps) しかないと、動きがカクカク見える。
そこでフレーム補間を使って、「本来ない中間のフレーム」をAIやアルゴリズムで自動的に作り出し、たとえば30fpsにして滑らかに見せる。
主なフレーム補間方法
フレーム補間には、いくつかの異なるアプローチがあります。以下に代表的なものを紹介します。
概要 | 特徴 | 欠点 | |
---|---|---|---|
リニア補間(線形補間) | ピクセル単位で前後のフレームの中間を単純に作る | 計算が速くて軽い | 動きが雑・にじみやすい |
オプティカルフロー法 (Optical Flow) | 物体の動きをベクトルで捉えて、移動を予測して中間を作成 | 動きが自然、滑らか | 計算が重い、誤差が出るとゴーストやブレ発生 |
フレームサンプリング | 元のフレームをそのままコピーして補間フレームとして使用 | 処理が非常に軽く、リアルタイム再生や編集に適している | 不自然なコマ送りのような動きになることが多い |
フレームブレンド | 隣接する複数のフレームの画素情報を合成(ブレンド)して中間フレームを生成 | 比較的軽量で処理が速い | 動きがある映像では、ブレやゴースト(二重像)のような見た目になりやすくい |
ブロックマッチング法 | フレームを小さなブロックに分けて動きを追跡する | 比較的高速、実装しやすい | 精度はそこそこ、境界が不自然になりやすい |
AI・ディープラーニング法 | ニューラルネットで前後フレームから中間フレームを生成 | 高精度・自然な仕上がり | GPU必須、処理時間が長い |
特にAIを活用してフレームレートを上げることが大きな注目を集めています。AIフレーム補間ソフトを活用すれば、誰でも低フレームレートの映像をなめらかに変換でき、YouTube編集やアニメ鑑賞、スローモーション映像の制作など、さまざまな用途で高品質な動画を実現することが可能です。
ただし、どの手法やソフトを選ぶべきかは、使用目的やPCの動作環境、求める品質などによって異なります。そのため、自身のニーズに合ったツールを選定することが重要です。
代表的なフレーム補間ソフトおすすめ
ここからは、代表的で評価の高いフレーム補間ソフトのおすすめをいくつか挙げます。ほとんどがAIを活用してフレーム補間を行います。
1. Aiarty Video Enhancer - (高品質AI補間、自然な動きを実現)
※ 左が元映像、右がAiarty Video Enhancerでフレーム補間後
AIarty Video Enhancerは、低解像度の映像を4Kまでアップスケーリングしたり、ノイズ除去やフレーム補間を行ったりと、さまざまな高画質化処理を簡単に実行できる動画高画質化ソフトです。
このソフトを使えば、AIが自動で中間フレームを生成し、低フレームレートの映像を最大120FPSへと変換することが可能です。その結果、スローモーション再生時でも滑らかで自然な動きを実現できます。人物の動作や水の流れ、細かな動きなどを美しく見せたい場面では非常に効果的です。
生成されるフレームが自然かつ一貫性を保っており、ジェロ効果(ジッター)、スミア、フレームの歪みといった違和感を効果的に回避します。さらに、ノイズやジャギー(ギザギザ)といった画質の劣化を最小限に抑えつつ、高品質な映像表現を可能にします。
Aiarty Video Enhancerでフレーム補間を行う方法:
ソフトをダウンロード・インストールしてから、起動しましょう。フレーム補間したい動画を画面の中央にドラッグ&ドロップして追加します。
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次に右側の「フレーム補間」にチェックを入れ、必要に応じて、「フレームレート」で目標のフレームレートを選択します。
(※AIarty Video Enhancerはフレーム補間同時に動画の高画質化処理も一緒に行います。解像度を変更したくない場合、「AI高画質化」の「拡大」を「x1」に設定してください。)
動画をスロー再生にしたい場合は、「スローモーション」にチェックを入れましょう。すると、「フレームレート」の項目が「速度」に切り替わり、「1/2SM(元の動画の1/2のスピード)」か「1/4S(元の動画の1/4のスピード)」を選択します。
設定が完了したら、「選択項目を書き出す」ボタンをクリックして、AIフレーム補間が始まります。
フレーム補間ソフト:Flowframes - (オープンソース、RIFE対応)

Flowframesは、動画や GIF アニメのフレームレートを2倍・4倍・8倍、さらには16倍まで倍増させることができるAIベースのフレーム補間ソフトです。RIFE、DAIN、FLAVRといった最新の補間アルゴリズムを選択でき、使用するPCのハードウェアに応じた最適な処理が可能です。処理速度が速く、画質も高いため、スローモーション動画や高フレームレート映像の制作に最適です。
H.265/HEVC、VP9、AV1などの先進的な動画コーデックに対応しており、音声や字幕を保持したまま出力することも可能です。さらに、シーンカットのアーティファクト(映像の乱れ)を防ぐ「シーン検出モード」を内蔵し、2D アニメーションに最適な「重複フレーム削除」機能もサポートしています。
基本機能は無料で使用可能。プレミアム版も用意されています。デメリットとしては、処理中にエラーが起こることがあり、動画によっては補間が正しく行えないケースもあります。
VideoProc Converter AI - (簡単操作で多機能)

VideoProc Converter AIはAI搭載多機能動画処理ソフトで、動画の画質向上、手ブレ補正、動画形式の変換、画面録画など、さまざまな機能を備えています。
中でも注目すべきはAIによるフレーム補間機能です。この機能を使えば、動画のフレームレートをボタンひとつで2倍、3倍、4倍、5倍に上げるだけでなく、最大20倍までの滑らかなスローモーションを作成したり、古い動画を4K 60FPSに復活させたり、ポストプロダクション向けの混合のフレームレートを統一したり、他のAIアートツールと組み合わせて、モーフィング効果を作成したりします。
豊富な機能と簡単な操作で、日常的な動画・画像処理に最適なといえます。
Dain-App - (DAIN対応、リアル映像に強い)

代表的なAIフレーム補間ソフトのもう一つはDAIN-APPです。特に DAINモデルをベースとして、高品質な中間フレーム生成が可能で、実写動画やキャラクターの動きが複雑なシーンでも、滑らかで破綻の少ない結果を得られます。
スローモーションにも対応して、元が30fpsや24fpsなど低フレームレートの動画を、60fpsや120fps以上のスローモーション映像に変換することができます。
さらに、フレームレートの変更に加えて、アニメーションのループ化、重複フレームの削除、フレーム単位での分割、動画のリサイズといった多彩な機能も備えています。
しかし、DAIN-APPはNVIDIA製のグラフィックカード(GPU)専用で、CUDA 5.0以上のサポートが必要です。それに、処理に時間がかかり、GPU性能を要求します。
SVP(SmoothVideo Project)- (リアルタイム補間対応)

SmoothVideo Project(SVP)は、長年にわたり、多くのアニメ・ゲーム・コミック(ACG)ファンから高い評価を得ているフレーム補間ソフトです。複数のフレーム補間アルゴリズムを組み合わせて、24fpsや30fpsといった低いフレームレートの動画を60fps以上に補間することで、映像の滑らかさと視聴体験を大幅に改善します。
このソフトはさまざまな動画プレイヤーとの互換性を備えており、動画再生時にリアルタイムでフレーム補間を行い、特にアニメや映画、配信動画の視聴時に効果的です。一方で、高解像度動画の処理にはCPUやGPUへの負荷が大きくなるため、パソコンの性能が重要となります。
SVPのインストールがやや複雑で時間がかかり、初心者にとって操作がやや難しいです。スローモーション再生機能はないのも惜しいところです。
【FAQ】フレーム補間に関するよくあるご質問
最後、フレーム補間に関するよくある質問を答えていきます。
主に以下のようなシーンで効果的です:
- スローモーション効果を自然に見せたいとき
- フレーム数の少ない古い映像を滑らかに再生したいとき
- アニメやアクション映画をより臨場感のある映像にしたいとき
- ゲームプレイ動画のヌルヌル再生を目指すとき
高速かつ高品質な補間を実現するのは、AIを活用したフレーム補間ソフトをおすすめします。特に、Aiarty Video Enhancerは強力なGPU加速技術を搭載したAIモデルによって、動画の処理効率を67%向上、3倍の高速なパフォーマンスを体験できます。
なお、高解像度の映像を高速に処理する際、ある程度のPCスペックと環境構築が必要です。
はい、以下のようなソフトは無料で利用可能です(一部機能制限あり):
- Aiarty Video Enhancer(一括書き出しできない、透かしあり)
- Flowframes(オープンソース・基本無料)
- VideoProc Converter AI(五分間制限)
- DAIN-APP(無料・要NVIDIA GPU)
- SVP(SmoothVideo Project)(30日間無料トライアルあり)
正しく処理されれば基本的に画質の劣化はありません。ただし、動きの激しい場面や複雑な背景では、補間処理が不自然になったり、アーティファクト(映像の乱れ)が発生することもあります。
対策として、高性能なAIベースのソフトを使い、設定を適切に行えば、画質はほとんど劣化しません。 一部ソフト(例:Aiarty Video EnhancerやVideoProc Converter AI)は、フレーム補間しながらノイズ除去や高画質化処理を行うため、画質の向上すら感じられる場合もあります。
はい、できます。一部のスマホアプリ(例:CapCut、EnhanceFoxなど)でも簡易的なフレーム補間機能がありますが、PCソフトほど高精度な処理は難しいです。本格的な映像制作や高品質な補間を求めるなら、PCソフトを使用することがおすすめします。

この記事を書いた人:ひまり
動画・画像処理などの記事作成を担当。現在はAI(人工知能)の分野を中心に、読者の方に向けて丁寧でわかりやすい内容を意識して執筆に努めます。